各地で広がるプログラミング教育 自治体で活用法さまざま

LEGO活用した親子体験会(兵庫県神戸市)

兵庫県神戸市内に設置されている地域福祉センターでは、多世代交流の取り組みとしてLEGOを活用したプログラミング体験会を2022年11月3日から12月18日までの間の毎週土曜・日曜と祝日に、同センター28カ所と長田区にある「ふたば学舎」の合計29カ所で全30回実施されました=写真。

体験会は、センターの指定管理者である「ふれあいのまちづくり協議会」とレッドホースコーポレーション株式会社(東京都墨田区)が運営するゲームで学ぶデジタル教室「REDEE(レディー)」などが連携して開かれました。

親子向け企画として、同協議会が各地域で募集を実施。応募者の中から1回につき10組20人の小学生親子ペアが参加し、およそ300組600人の親子が無料で気軽なデジタル体験を楽しみました。


SDGs掛け合わせた出前授業(東京都渋谷区)

東京都渋谷区にある広尾小学校では22年12月21日、小学6年生を対象に「ブルーカーボン」をテーマにした出前授業「プログラミングで海のSDGs!」が実施されました=写真。

主催したのは、子どもたちのためのSDGs(持続可能な開発目標)とプログラミングについての学びの場作りに力を入れている一般社団法人イエローピンプロジェクト。また、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環にもなっている。

当日は、6年生37人を対象に、1人1台端末を使用して「Scratchでブルーカーボンチャレンジ!」を実施。授業は、SDGsの目標14番「海の豊かさを守ろう」をテーマにした内容となっています。

二酸化炭素を吸収する新しい手段「ブルーカーボン」というメカニズムが説明され、ブルーカーボン生態系の一つであるアマモを植えるという内容のプログラミングを実施。「リスト」をプログラムしてアマモを配置したり、二酸化炭素が落ちるタイミングや速さをプログラムすることでゲームの難易度を自分で変えることができ、児童たちそれぞれが設定したゲームをプレイして、高いスコアを取れるよう試行錯誤をしていました。

参加した児童からは「アマモを増やすのに1年もかかるということにびっくりしました」「海の自然を守るために、ロボットなどが活躍しているということを初めて知りました」という声が上がりました。


全国初、ポケモン財団と連携協定(神奈川県横浜市)

神奈川県横浜市は22年11月11日、中期計画の基本戦略「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」の実現に向け、一般財団法人ポケモン・ウィズ・ユー財団(東京都港)と次世代育成を推進する協定を結んだと発表しました。小学生の情報通信技術(ICT)教育や未就学児の防災学習、こども食堂への支援など幅広い分野で連携します。

財団は株式会社ポケモン(同)が21年9月に設立。東日本大震災の被災地支援が始まりで、現在では生活や学習の支援にも取り組んでいます。同財団が自治体と連携協定を結ぶのは、今回が初めて。

ICT教育では、財団が開発した「ポケモンプログラミングスタートキット」=写真=などを利用。同キットはポケモンのイラスト素材を活用して自らシンプルなゲームを作る内容となっており、希望する小学校の授業に順次導入されます。

防災学習支援では、防災教材「ポケモンぼうさいきょうしつ」を保育所や幼稚園など約590カ所に配布し、災害時に身を守る方法などの防災意識を高めてもらう狙いがあります。

こども食堂支援では約70カ所のこども食堂に文房具やペーパークラフトなどのポケモングッズを提供するほか、ピカチュウが実際に1カ所のこども食堂を訪れ、記念撮影などが行われます。

山中竹春横浜市長は「今回の取り組みのほかにも、財団と連携し、次世代育成に関する様々な取り組みを行ってまいります」とコメントしました。


CFでデジタル施設誘致へ(奈良県宇陀市)

奈良県宇陀市は22年12月23日、ふるさと納税サイト「ふるなび」において、プログラミング教育に関するイベント開催を目的としたクラウドファンディング(CF)プロジェクトへの寄付の受け付けを開始しました=写真。期間は23年2月28日まで。

イベントは3~4月の間、宇陀市内の小学生から高校生と、今回のCFに5万円以上寄付した人の子どもを対象に、レゴブロックを使用したプログラミング体験や、ドローン操縦体験、VR体験、eスポーツ体験などの無料イベントが実施されます。

市はこれまで、自治体として全国初となる「メタバース」での移住イベントを開催するなど、最先端のデジタルテクノロジーを取り入れてきました。今回予定するイベントも、体験をきっかけに子どもたちに「デジタル教育」への興味を醸成し、商業施設や運営企業と連携を図りながら、将来的に常設の施設誘致を実現したいと考えています。


CBT活用した授業を創造(東京都豊島区)

東京都の豊島区教育委員会は現在、株式会社スプリックス(東京都豊島区)と連携し、パソコンやタブレットを使って回答するCBT(Computer Based Testing)方式の効果的な活用を通して、基礎・基本となる知識及び技能を定着させるための授業改善を推進しています。

それに伴い、22年度の同区研究開発指定校である西巣鴨中学校と西池袋中学校において、スプリックスが開発した基礎学力・プログラミング・主要教科の理解を評価できる三つのCBTを学校向けにパッケージ化した「CBT for schoo」を活用した新しい授業デザインを創造するとしています。