プログラミング教育とは?

プログラミング教育は小学校では2020年度から、中学校では2021年度から、そして高校では2022年度から必修化されました。

このプログラミング必修化は、各学校が教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準として定められている学習指導要領に、プログラミング教育の内容が必修として追加されたものです。必修のため、希望する人のみが受講する選択科目などではなく、誰もが学ばなければなりません。

また、学習指導要領は小中高で内容が分かれているため、文部科学省管轄の学校はこれに準じた内容で授業を行うことが決まっており、公立・私立関係なくどの学校でもプログラミング教育が行われています。

小学校でのプログラミング教育

文部科学省は、小学校段階のプログラミング教育についての基本的な考え方などをわかりやすく解説し、教師がプログラミング教育に対して抱いている不安を解消し、安心して取り組めるようにすることをねらいとした「小学校プログラミング教育の手引」を公開しています。

この手引には、小学校プログラミング教育導入の経緯、小学校プログラミング教育で育む力、プログラミング教育のねらいを実現するためのカリキュラム・マネジメントの重要性と取り組み例などが解説されています。

また、小学校段階のプログラミング教育は、各教科での学びを確実にするという狙いがあるため、国語や算数、音楽など、さまざまな教科と組み合わせて授業が行われます。

中学校でのプログラミング教育

中学校のプログラミング教育の目的は、政府が提唱する社会構想「Society5.0」の実現に向け、生徒が生活や社会から問題を見いだして、解決できる人材を育成することです。

中学校では、「技術・家庭科(技術分野「D・情報の技術」)」の授業の中でプログラミング教育を学びます。

高校でのプログラミング教育

高校のプログラミング教育は、「情報Ⅰ」と「情報Ⅱ」で行われます。情報Ⅰは必修科目で、高校生全員が授業を受けることになります。

情報Ⅰの学習内容は、情報社会の問題解決、コミュニケーションと情報デザイン、コンピュータとプログラミング、情報通信ネットワークとデータの活用に分かれています。

プログラミング教育必修化の背景と狙い

プログラミング教育が必修化された背景には、IT(情報技術)人材不足があります。


経済産業省が2016年6月に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しており、またこの2015年の数値を100としたときの市場規模で計算すると、2030年には約59万人まで人材の不足規模が拡大すると予想されています。

技術革新の急速な進展に伴い、文部科学省は小・中・高校で段階的に必修化を決定しました。

プログラミング教育は、あらゆる活動においてコンピューターなどを活用することが求められるこれからの社会を生きていく子どもたちにとって、将来どのような職業に就くとしても極めて重要となると考えられています。


次に、政府のプログラミング教育導入の狙いとして、次の四つが挙げられます。

  • プログラミング的思考力を身につける
  • テクノロジーの仕組みへの理解を深める
  • ITを活用する力を育む
  • IT社会に積極的にかかわる人材を育む

プログラミング的思考力とは、問題を解決するために、論理的に考え、課題を分解し、順序立てて実行する力です。プログラミング的思考力を身につけることで、さまざまな問題に柔軟に対応し、解決できるようになると言われています。

テクノロジーの仕組みへの理解を深めることで、IT社会を生きていくうえで必要な知識やスキルを身につけることができます。また、ITを活用する力を育むことで、仕事や生活の中でITを効果的に活用できるようになり、生産性を向上させることができます。


IT社会に積極的に関わる人材を育むことで、IT技術を社会に貢献する力を付けることができます。プログラミング教育を通して、子どもたちがIT技術を活用して、より良い社会を創造する未来が期待されています。

プログラミング教育の課題

プログラミング教育には、いくつかの課題があります。


  • プログラミング教育を行う教師の不足
  • プログラミング教育を行うための環境の整備
  • プログラミング教育に対する親や保護者の理解不足


教師の不足は、プログラミング教育が必修化されたことで、より一層深刻化しています。プログラミング教育を行う教師は、プログラミングの知識やスキルだけでなく、子どもたちにプログラミング教育を効果的に教えることができる必要があります。


また、プログラミング教育を行うための環境の整備も課題といえます。プログラミング教育を行うためには、プログラミング言語やプログラミングソフトなどの環境を整備する必要があるほか、教材も整備する必要があります。


一方、親や保護者の理解不足も、プログラミング教育の課題に挙げられます。プログラミング教育の重要性は理解しているものの、それを行うための時間や費用がないなど、プログラミング教育を子どもに受けさせられないという親や保護者も一定数います。




世界で約2億ダウンロードされている「マインクラフト」でのプログラミングなので低学年から始められ、大人気YouTubeの動画解説がついているので、YouTuberを見ている感覚でプログラミングを学ぶことができるという小学生向けプログラミングスクール「コードアドベンチャー」。

現場講師のサポートも充実しており、「動画+現場指導」のダブルティーチングでつまずくことなくプログラミングを学ぶことができるとのこと。学習塾への展開も始めています。

今回、「コードアドベンチャー」を立ち上げた合同会社ドリーマーズギルドの宮城島崇之代表社員に「プログラミング教育」の本質などを聞きました。<全10話予定>

みやぎしま・たかし 1983年静岡県出身。名古屋大学理学部卒業。合同会社ドリーマーズギルド代表社員、一般社団法人きのこ理事。教育活動に従事して18年、これまで、さまざまな子どもの教育の形にかかわり、「未来を生きる力」とは何かを常に追い続ける。「学ぶことを楽しむ、あきらめない」ことを達成するためにプログラミングスクール展開や地元の学習塾運営を土台に活動をしている。