1980年代は、ビデオゲームの歴史において非常に重要な時期と言われています。この時期には、多くの新しいゲームが登場し、ゲーム業界が急速に発展しました。
例えば1980年には、ナムコ(現バンダイナムコホールディングス、東京都港区)が「パックマン」をリリースし、世界中で大ヒット。1983年には任天堂(京都市南区)が「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」をリリース。このゲーム機は非常に人気があり、家庭用ゲーム機市場をけん引しました。
この発売以来、ビデオゲームは日本の家庭に浸透し、子どもたちの日常生活の一部となりました。しかし一方で、テレビゲームへの没頭が子どもたちの発達に悪影響を及ぼすのではないかという懸念がたびたび議論されてきたり、中毒性があり社会問題にもなったりしています。
ただ、この「中毒性」が良いか悪いかはさておき、ゲーム業界では「いかに繰り返して遊んでもらえるか」を何十年も研究しており、その結果がこの中毒性とも呼ばれる理由の一つかもしれません。
ゲーム業界では当たり前のように考えられているこの「いかに繰り返して」という考えですが、教育業界では考えられてこなかったと感じます。
勉強は「するべき」としてやってこられて、苦しくて当然という風潮があり、だからこそ、ゲーム業界と教育業界では発展に差が出てしまっていると思います。
ですので、ゲーム業界が当たり前のように考える「次やりたくなる仕組み」を教師や学校現場など、教育業界全般でももっと考えていく必要があります。
例えば「スーパーマリオブラザーズ」というゲームですが、動作として考えれば「ボタンを押すだけ」で、この動作を繰り返すだけだと苦痛なはずです。
それなのに続けてしまうのはどうしてでしょうか?
そこには、ゴール地点までたどり着くとプレイヤーを祝福する心地良いジングルが流れたり、特定の条件あるいは好成績を収めてクリアした場合にのみ特殊なジングルを鳴らしたりするなど、さまざま「称賛」の演出が盛り込まれています。
この、「達成した」という成功がきちんと認められることこそがやる気を生み出す秘訣であり、飽きさせず、繰り返ししたくなるという流れにつながります。
われわれ、コードアドベンチャーでは実際に、この称賛の演出を取り入れています。
生徒が毎回の授業で使用する「チェックシート」ですが、まずは動画を見ずに進めるか、動画を見るかを選んでもらうところから授業を始め、「課題のクリア」「出来たあとすぐ先生を呼んだ」「動画を見て答え合わせをした」「綺麗なコードを組んだ」という四つの項目をチェック。このシートが進行表も兼ねており、状況を可視把握できるだけでなく、課題を一つクリアすれば4回褒めてもらえるという機会をつくっています。
こうした称賛の演出など、ゲームの要素を取り入れることを「ゲーミフィケーション」と呼び、活用することで子どもたちはより興味深く、効果的に学ぶことができます。
日本のゲーミフィケーション研究の第一人者である日本ゲーミフィケーション協会代表の岸本好弘さんは以前、「ゲームは強いられたルールの中で課せられてプレイするので、勉強と同じく強制参加といえます」と話されていました。
でも、勉強は「させられている感」があるのに対し、ゲームは「させられている感」がないのはなぜか。
この違いを見いだし、活用することが教育業界が成長するカギとなります。
「勉強はさせらるもの」という前提を取っ払い、子どもたちの能動的参加をどう演出させるかを、プログラミング教育業界のみではなく、教育業界全般で考えていかなければなりません。
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