【トップインタビュー vol.002】プログラミング能力検定協会 わかりやすい尺度を示したい

小学生から高校生、高専生までプログラミングを学ぶ子どもたちの学習の指標となるべく開発された「プログラミング能力検定(以下、プロ検)」。小中学校でのプログラミング教育の必修化や、2022年度の高校における「情報Ⅰ」導入、24年度の大学入学共通テストで試験教科となるとされている「情報」への対応など、各教育機関がプログラミング教育を推進する中で、その目標設定や評価のためのわかりやすい尺度を示すことを目指しています。今回、プロ検を手がけるプログラミング能力検定協会(東京都豊島区)の飯坂正樹代表に、検定の詳細や活用方法などについてお話を聞きました。

(聞き手/本紙編集長 山𦚰佑介)


学生から社会人まで幅広い層が受験可能

20年にスタートしたプロ検は、プログラミングに必要な基礎知識を客観的かつ詳細に測ることができる試験として、現在は全国で2000以上の会場で毎月実施されており、公立の小中学や高校、高専での導入事例も出てきています。独自のビジュアル言語やJavaScript(ジャバスクリプト)、Python(パイソン)、Java(ジャバ)での受験が可能で、どの言語で受験しても等しくプログラミング能力を可視化できることが特徴です。

また、受験レベルは1~6の6段階あり、初心者からエンジニアを目指す人まで、レベルや言語別に合わせて幅広い層が受検できるほか、24年度から大学入試に導入されるプログラミングの出題範囲もカバーしており、学生から社会人まで幅広く受検可能な検定試験ともいえます。

受験者数も増加傾向にあり、飯坂代表は「23年の受験者数は22年と比較し、3倍に増加しました」と話しています。

また、受験者データからみたプログラミング教育業界の傾向について、飯坂代表は「年齢が上がるほどスコアが高くなる傾向がある一方で、プログラミングスクールで週に1回程度学習している小学生と、学校でのみ学習している高校生を比較すると、小学生の方がスコアが高い」と分析。「学校では時数が限られることから年間に数時間しかプログラミングの学習ができず、プログラミングは年齢よりもトレーニングの量によって差がつきやすいことがわかります。早期にプログラミング能力を高めたい場合には、やはりプログラミングスクールやクラブ活動など、集中して学習できる環境に身を置くことが有効な方法の一つといえます」(飯坂代表)


目標の一つに設定し、学習の動機付けに

プロ検は学習方法によらず、客観的にプログラミング学習の定着度を測ることができるため、検定の出題範囲と照らし合わせて、適切なタイミングで受験することで、学習成果を確認しながらプログラミング学習を効果的に続けることができます。 飯坂代表は「プロ検の受験を目標の一つにすることで、学習のモチベーションとなります。例えば『レベル1』はプログラミング未経験の小学生が週に1回1時間程度の学習を経て3カ月後に受験可能なレベルです。学習を始めて比較的早い時期に成果を実感することで、自信にもつながります」と説明。

また、最近では高校の推薦入試や大学の総合型選抜にてプロ検の合格実績がきっかけで合格した、という事例が出てきているといいます。「入試の際の調査書・履歴書に記載することで有利に働く可能性があります」(飯坂代表)


可視化ツールとして塾での導入・活用も

検定は現在、プログラミング教育を展開する塾やスクールでも導入が進んでいます。そこには、プログラミングは将来必要な能力であるにもかかわらず、学習成果がわかりづらく、モチベーションの維持が難しいといった業界全体の課題もうかがえます。

飯坂代表は、「子どもたちのプログラミング能力を詳しく可視化するツールとしてプロ検を活用することで、学習者やその保護者への説明もしやすくなるので、学習の継続のためにも検定を役立ててほしいです」と呼びかけています。

また、これから受験を希望する子どもたちへは「プロ検を受けると、皆さんがいつも取り組んでいるプログラミングがどれくらい身についているかがわかります。ぜひ、自分の今のプログラミングの力を測ってみましょう」と話しました。